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SublimeなLife日記

少しでも素晴らしい生活をおくるために、日々、気になったことを。

息子と自転車

私には週に2回、3歳になったばかりの息子を、朝「じじばば保育園」に送り届ける、というミッションがあります。

1歳の頃からはじまったので、丸2年ほど経ちました。

「おかあさんといっしょ」を一緒に見ながら、本気で歌って、本気で踊る。
その後に歯みがきをし、片付けなどの簡単な家事を済ませて自分の出勤前の支度を慌ただしくし、9時すこし前に電動アシスト付き自転車に乗り込みます。

最初の頃は息子はまだ歩けなかったので、家を出る前に掃除機をかけたり、ちょっとコーヒーを淹れてもまだ余裕があったのですが、まもなく歩きだし、やがて2歳になり、オムツが取れ、すくすくと成長の階段を登るにつれ、だんだんとその余裕もなくなり、1分1秒の時間に追われるようになっていきました。

息子の場合は、イヤイヤというよりは何でも自分でやりたがるため、歯みがきが終わらなかったり、靴を履くのに時間がかかったり、私はとにかく「待つ」ということに苦労しました。
とくに2歳の終わり頃には、ささいなことで息子の機嫌を損ねては、近所中に響き渡る号泣をさせたことも1度や2度ではありませんでした。
いまでも時には、そんな息子に手を焼いて、叱っては後悔、また叱っては反省を繰り返す日々です。自分の未熟さを、息子に対して申し訳なく思っています。

しかし、自転車に乗ってからは、本当に毎回楽しい時間でした。

息子を前用チャイルドシートに載せ、ふたりで大声で歌をうたったり、しりとりをしたり、電車ごっこをしたりしながら自転車を漕ぎます。

おかげで、おかあさんといっしょの歌も、たくさん歌えるようになりました。
一緒に季節の歌をうたうために、童謡もずいぶんと覚えました。

乗り物が好きで、東京駅で東北新幹線のカラフルな連結車両を見てからは、連結ごっこがお気に入りになりました。
車の名前もたくさん覚えて、家族を驚かせることも、しばしばです。

最近はバードウォッチングが父子の趣味になり、珍しい野鳥を見かけてはふたりではしゃぎ、帰ってから鳥図鑑を調べて名前を覚えました。もう息子はスズメとヒヨドリとムクドリを見分けることができます。

あんまり自転車が楽しいので、いつも近道の交通量の多い幹線道路を避け、遠回りでも住宅街の細道を選んで通っています。

さて、今朝はとっても暖かくて、気持ちの良い晴天でした。

途中通り道を横切って、1本の川が流れています。
前回そこにコサギ(いわゆるシラサギ、ちゃんとコサギと呼びます)が7羽もいて「今日もいるかな」と川にかかる橋を過ぎるとすぐに沿道にそれて、寄り道をしました。

すると、この前までは咲いていなかった桜が、すっかり満開になっていました。
川を挟んで沿道に数本ですが、こんもりと花びらを開き膨らんで、きれいに青空に映えていました。

それは特別に珍しい光景ではないのですが、ちょうど1年前、同じように息子と見た光景です。

桜の木の下に自転車を進めると、花びらが風に舞ってひらひらとヘルメットの上に落ち、もうあまり時間はないのですが、それでも飽きるまで、しばらくふたりで上を見上げていました。
何百本と咲き誇る庭園の桜とくらべるとあまりにもささやかですが、手を伸ばせば届きそうな桜の木が息子は気に入ったのか、その後しばらく「あの桜の木、きれいだったよね」と、自転車で橋を渡るたびに、わたしに話しかけてきました。

そして1年後の今日、同じように桜の木を眺めていると、胸にこみ上げてくる思いが、柄にもなく抑えられなくなってしまい、私は目の前の景色が淡く滲んでくるまましばらくまかせ、自転車を漕ぐことができなくなってしまいました。

3月最後の今日が、息子を「じじばば保育園」に送り届ける、最後の日でした。

今日は、たったひとりの「じじばば保育園」の卒園式でした。
3歳になった息子は、4月から幼稚園に通いはじめます。

はじめは抱っこ紐に抱えて自転車に乗せていた息子が、はじめて親元を離れて集団生活に身を投じる日が、もうすぐそこまで来ました。
息子にとってはなんてことのない1日だったのだろうけど、私たち親にとって、自分の子どもの初めての卒業式の朝でした。

この頃はすっかり自我が芽生えて「後ろの椅子がいいよね」などと生意気な口を利くようになった、プライドの高い息子のために購入した後ろ用チャイルドシートは、ベランダに控えて取り付けの日を待っています。

子どもを後ろに乗せて漕ぐ自転車のからの景色は、眺めが良くて、きっとちょっぴり寂しいのでしょうね。

お題「お花見」